【コラム】慰謝料請求の時効

配偶者の不貞が発覚した場合、不貞相手に対してすぐに慰謝料請求を行う方もいれば、請求すべきかどうか考え中という方もいると思います。請求しようかどうか決めかねているという方は、不貞相手への慰謝料請求に期限があるのをご存じでしょうか。このコラムでは、不貞相手(第三者)への慰謝料請求の時効について解説します。

*夫婦間の場合にはまた別の議論があり得ます。今回は、あくまで第三者に対する場合についての検討です。

1 時効について

(1)時効期間

第三者への不貞の慰謝料請求権は、夫婦の一方が、他方と第三者との不貞行為を知った時から、3年で時効により消滅します(民法724条)。不貞行為が数年に渡って行われていたような場合でも、3年で時効になります。

例えば<2000年4月~2020年3月まで不貞>が行われていたケースで、2020年4月に慰謝料請求の裁判を起こしたとします(その間に時効の完成猶予(停止)・更新(中断)はない前提です)。この場合、2017年4月(提訴の3年前)より前に不貞行為を知っていたのであれば、それまでの間の慰謝料請求権は時効となり、請求できるのは、2017年4月から2020年3月までの間の不貞行為に対する慰謝料のみとなります。(最高裁平6年1月20日判時1503号75頁参照)

(2)不貞行為を知った時とは

ところで、上述の不貞行為を知った時(民法724条「損害及び加害者を知った時」)というのは、「不貞相手の住所氏名を知った時」と考えられます。そもそも時効は、権利が行使できるのに放置していた者は保護しない(権利の上に眠る者を法は保護せず)という考えに基づく制度です。不貞相手の住所氏名さえ分かれば、その相手に対して慰謝料の支払いを求めることができるので、時効はその時点から起算されます。(民法724条 不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から20年を経過したときも、同様とする。)

 

2 時効が迫っている場合にはどうしたらよいのか

時効期間が経過するまでに、裁判や調停を起こす等の方法により、時効期間の経過をいったんリセットしてゼロに戻すことができます(民法147条)。

しかし、調停や裁判を起こすには、書類の準備等に一定の時間が必要です。時効までギリギリの場合には、まずは相手に内容証明郵便で請求内容を記載した文書を送っておきましょう(催告)。これにより時効を一時的に止めることができます。そこから6か月以内に裁判等を起こすことで、時効をリセットすることができます(民法147条)。

 

3 時効期間が経過してしまっている場合

時効期間がすでに経過してしまっている場合でも、慰謝料の支払いを受けられる可能性はゼロではありません。

時効という制度は、期間が経過しても、それだけで自動的に権利が消滅し、請求ができなくなるわけではありません。相手が時効であることを主張(時効の援用)してはじめて、権利が消滅します。時効期間が経過していても、請求書面を送ったり、裁判を起こすこと自体は可能であり、相手がそれに応じれば、支払いを受けることができます。

 また、相手が不貞行為を認めて支払いの意思表示をしたような場合(承認)にも、時効はその時点でリセットされ、慰謝料の請求が可能になります。

 

4 除斥期間

なお、時効とは別の制度ですが、不貞行為から20年が経過した場合には、慰謝料請求ができなくなります。これは除斥期間というもので、被害者が不貞行為の存在を知っていたか知らないかに関わらず、不貞行為から20年の経過により権利行使ができなくなります(民法724条)。

 

5 まとめ

不貞相手への慰謝料請求は、不貞行為を知ってから3年以内に請求を行うことが必要です。請求しようかどうか迷っているという方は、この時効の事をぜひ頭に入れておいていただきたいと思います。時効が迫っているという方は、ぜひ急ぎ、当事務所にご相談ください。

 

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