【コラム】養育費の時効

養育費の支払いが滞ってしまった場合に、そのまま何もしないで放っておくと、時効で請求できなくなってしまうのをご存じでしょうか。このコラムでは、養育費と時効について説明します。

 

1 養育費の時効は原則5年

養育費の請求権は、毎月支払期限(弁済期)が来て、その支払期限(弁済期)から5年で時効になるのが原則です(民法166条1項1号)。具体的に言うと、例えば、2020年1月分の養育費は2025年1月に、2020年2月分の養育費は2025年2月に時効となってしまいます。

 

2 養育費の時効が10年になる場合

既に支払い時期が到来した過去の養育費の請求権は、確定判決、審判、裁判所上の和解、調停等、確定判決と同一の効力を有するものによって確定した場合には、上記の消滅時効の期間は、5年から10年に延長されます(民法169条1項)。

ただし、判決や調停等で養育費の金額が確定したときに、まだ支払い時期が来ていない将来の養育費については、たとえ確定判決等によるものであっても、消滅時効の期間は5年です(民法169条2項)。

 

3 時効が迫っている場合にはどうしたらよいのか

時効期間が経過するまでに、裁判や調停を起こす等の方法により、時効期間の経過をいったんリセットしてゼロに戻すことができます(民法147条)。

しかし、調停や裁判を起こすには、書類の準備等に一定の時間が必要です。時効までギリギリの場合には、まずは相手に内容証明郵便で請求内容を記載した文書を送っておきましょう(催告)。これにより時効を一時的に止めることができます。そこから6か月以内に裁判等を起こすことで、時効をリセットすることができます(民法147条)。

 

4 時効期間が経過してしまっている場合

時効期間がすでに経過してしまっている場合でも、養育費の支払いを受けられる可能性はゼロではありません。

時効という制度は、期間が経過しても、それだけで自動的に権利が消滅し、請求ができなくなるわけではありません。相手が時効であることを主張(時効の援用)してはじめて、権利が消滅します。時効期間が経過していても、請求書面を送ったり、裁判を起こすこと自体は可能であり、相手がそれに応じれば、支払いを受けることができます。もっとも、相手に時効の援用を行われてしまうと、請求できなくなってしまいます。

 また、相手が養育費の不払いを認めて支払いの意思表示をしたような場合(承認)にも、完成前であれば、時効はその時点でリセット(更新)され、養育費の請求が可能になります。時効期間経過後の場合は、信義則の問題として原則として時効の援用ができなくなると解されますので、時効期間経過後であっても承認してもらうことには意味があるといえるでしょう。

 

5 まとめ

養育費は不払いが社会問題化しており、諦めてしまっている方も少なくないのが実際です。しかし、そのまま何もしないと、時効で請求権が消滅してしまいます。民事執行法の改正により、未払いの養育費を、相手の財産から強制的に回収する制度が充実しました(詳しくは「養育費未払いの場合の強制執行について」のコラムを参照ください)。養育費の支払いが滞っていてお困りの方は、ぜひお早めにご相談ください。

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