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【コラム】未成熟子がいる女性が離婚において気を付けるべきこと

2020-11-17

ここでは、一般に未成熟子がいる女性が離婚において気を付けたほうが良いことについて触れます。なお、ここで未成熟子というのは、概ね、未成年の子供と範囲は重なりますが、大学生など成人であってもまだ世話をすることが必要である場合を含み、一方で未成年でも結婚して自立している場合を除きます。

 

1、親権について

 親権については、子供が小さいうちは母親が有利というのは昔からよく言われます。現在でも、そういう傾向はあると思います。ただ、裁判所は女性だからという理由よりもこれまで子供の世話をしてきたという実績を見ているのだと思います。

 また、夫婦が別居している場合は、実際に面倒を見ている親の方が有利になる傾向はあります。だからといって、すでに相手方が面倒を見ている子を連れ去ることは刑事責任を問われる恐れもあるので、絶対にしてはいけません。その状況では、家庭裁判所に、この引き渡し・監護者指定の調停を申し立てることを検討すると良いでしょう。

 逆に、同居しているときに気を付けないといけないのは、留守中に配偶者が子供を連れて別居してしまうことです。例えば保育園・幼稚園などに相手方が迎えに行って連れて行ってしまわないように注意しておく必要があります。

 以上のように、親権は必ず母親というわけではないので、親権を確保したいときは早いうちに弁護士に相談して、どういう対策をすればよいか、確認しておくと良いでしょう。

 なお、家庭裁判所で決める場合、15歳以上の場合、裁判所は子の意見を聞くことが義務付けられています。実際は、もう少し小さい子でも、子供自身の意見を聞く手続きがなされます。未就学児の場合と違って、中学生や高校生になれば、子供自身の意見が尊重される可能性が高くなってきます。

2、婚姻費用・養育費について

 まず、別居期間中は、収入が少ない方は収入が多い方に対して、婚姻費用を請求できます。婚姻費用というのは夫婦間の扶養義務に基づく生活費のことであり、義務者、権利者、それぞれの年収、及び子供の数や年齢、などによって決まってきます。

 一方、養育費は、離婚後に、子の監護権を持つ側が相手方に対して持つ請求権であり、同様にそれぞれの年収や子供の数、年齢等により決められます。

 月々いくら、という決め方をしますが、大学の入学金や学費については別途協議する、というような決め方をすることが多いです。なぜなら、大学等は進学するかどうか、子らが大きくならないとわからず、あらかじめ金額を決めることが難しいからです。

 ここで重要なことは、養育費は本来権利ですが、請求することで具体化しないと支払ってもらえないということです。つまり、離婚する際に金額や支払方法を決めておかないと、自動的に支払われるわけではありません。離婚の際に離婚協議書で決めても良いですし、調停を行う場合はその中で決めるか、別途養育費請求の調停を起こすこともできます。養育費は権利なので、養育費請求の調停でまとまらない場合は審判に移行して、裁判所が決めてくれます。

 また、離婚の際に決めなくても後から決めることもできますが、その場合は、請求する前の分を遡って請求することは認められない可能性があります。もちろん、一度決めておけば、その後は時効にかかるまでは請求できるのですが、請求をしないままの場合は、請求した日以降の分しか認められない可能性があります。

 もし、ご自身で話しづらいという場合は、弁護士に交渉を依頼する等して、早めに請求することをお勧めします。

3、財産分与について

 財産分与は、原則は、婚姻から別居までに築いた資産を半分に分けるという手続きになります。これを清算的財産分与と言いますが、単に財産分与と言えば多くの場合、これを指すと思います。ここで、固有財産(特有財産)は分与対象になりません。例えば、婚姻前からの財産や遺産などです。それらは夫婦で協力して築いた財産ではないので、分与対象になりません。

 また、扶養的財産分与というものもあります。これは、婚姻期間中専業主婦として家事に専念するなどして収入がなかった場合に、しばらくの間生活できるだけの資産を分与するもので、扶養の意味で行われるものなので、扶養的財産分与と呼ばれます。本来は離婚後は扶養義務はないはずなのですが、婚姻により配偶者に協力するために仕事を辞めるなどして収入が少なくなっていた場合には、自立して生きていくだけの経済力をつけるのに必要な期間(例えば1年程度)の生活費を、清算的財産分与とは別に、請求できる場合があります。清算的財産分与が認められるかどうか、どの程度認められるかは、案件により、また、裁判所の判断により、ばらつきがあるように思います。

 また、分与対象は、預貯金、現金、不動産、保険の解約返戻金、退職金、など様々なものが含まれます。預貯金がなさそうだから、というのであきらめるのではなく、丁寧な検討が必要です。(退職金についてはどの程度認めるか、どのように計算するか、は議論もあります)

いずれにせよ、財産分与は、財産面での公平性という意味だけではなく、女性が離婚後に生活していくために重要なものですから、しっかりと計算して請求しましょう。

 

4、慰謝料

 慰謝料は、相手方に不貞行為があった場合、DVがあった場合、悪意の遺棄があった場合、など民法上不法と評価される行為があった場合に認められます。もっとも、DVが慰謝料の根拠になるかは、程度や回数にもよると思われます。また、悪意の遺棄は、生活費を入れなかった場合や配偶者を追い出した場合などが該当しうると考えられます。

 慰謝料については、相手方が認めない場合は、立証が重要になってきます。また、内容や程度によって、金額は変わってきます。

 

5、面会交流に応じる必要はあるか

 親権(監護権)を取れた場合、相手方から面会交流の要求があることが多いと思います。これについては、応じたくないという気持ちをお持ちの方も多いと思います。しかし、面会交流は子の福祉のための制度であり、まったく応じないということは原則としてできないことになっています。ただ、子自身がどうしても会いたくない場合や暴力で身に危険が及ぶような場合には拒否することもできると考えられます。

 

6、まずは弁護士に相談を

 配偶者に対して不満があっても、経済力やその他の理由でなかなか離婚に踏み切れないこともあると思います。また、怖いから、とか、言っても聞いてくれない人だから、というような理由で不利な条件で、本来もらえるべき財産分与や養育費の請求もせずに離婚に応じてしまっているケースもあります。その結果、経済的に困窮してしまう場合もあります。また、離婚後も親権をめぐって不満を持っているというケースもあります。そのような問題を避けるためにも、離婚を考えたら、まずは離婚問題に詳しい弁護士にご相談ください。当事務所は、離婚に関する問題に力を入れてきました。女性の方から相談、依頼を受けた実績も多数あります。ご相談ご希望の方は、まずは、お電話か電子メールでご予約の上、立川か所沢の事務所までご来訪ください。相談は、初回1時間まで無料です。

【コラム】財産分与の割合が修正される場合

2020-10-01

財産分与には、①清算的財産分与(夫婦が結婚している間に協力して築いた財産を清算する)②扶養的財産分与(離婚後の生活が経済的に困難になる一方の配偶者を扶養するという性質のもの)③慰謝料的財産分与(離婚原因を作った責任のある配偶者から、他方の配偶者に対する精神的苦痛に対する慰謝料としての性質)の3つの性質がありますが、中心となるのは①清算的財産分与です。

 

1 2分の1が原則

清算的財産分与の基本的な考え方は、結婚後に築いた財産を、夫婦それぞれの財産形成における貢献度を考慮して、公平に分配するというものです。

清算的財産分与における分与割合は、2分の1が原則です。子がいない家庭で、配偶者の一方が働き、他方が働いていない場合(専業主婦(夫)の場合)であっても、2分の1が原則です。一方の家事労働があってこそ、他方が働いて財産形成ができるからです。

ただし、以下の具体例にあるように、分与割合を2分の1とするのでは、不公平となってしまうようなケースにおいては、分与割合が修正されることがあります。

 

2 具体例

・夫婦の一方の特殊な才能な努力により高額の収入を得ていた場合

例えば夫婦の一方が医師であったり、会社の代表取締役であるなど、特殊な才能な努力により高額の収入を得ていたといえる場合には、財産形成にあたって夫婦の一方の貢献度が高いといえることから、分与割合が修正されることがあります。

 

・別居時の財産に含まれる特有財産の金額が確定できない場合

財産分与の対象財産は、夫婦が結婚後に協力して築いた財産です。結婚してから別居までの間に形成された財産が対象になります(離婚前に別居している場合、別居後は夫婦の協力があるとは言えないからです)。また、一方の配偶者の相続財産や婚姻前から有していた財産は、特有財産と呼ばれ、財産分与の対象となりません。

しかし、いざ離婚時に財産分与を行おうとすると、特有財産と共有財産が混ざってしまっており、特有財産の金額がはっきりしないことが多くあります。そのような場合には、まずは特有財産の金額をはっきりさせるため、可能な限り資料を集めることが必要です。それでも特有財産の金額が確定しない場合には、分与割合を修正するという方法で解決する方法もあります。

 

・夫婦の一方に浪費がある場合

夫婦の一方に浪費がある場合には、浪費した分は持ち戻して(残っているものとして)計算し、浪費した側は浪費分はすでに使ったとしてその分受け取れる額から差し引くという計算方法をとることもありますが、財産分与の割合を修正するという方法で計算することもあります。ただし、前提問題として、そもそも浪費があるのか、あるとしていくら位なのか争いになることもあるので、丁寧な主張立証が必要です。

 

3 修正後の割合について

2分の1を修正するとして、ではどのような割合に修正するのか(6;4とするのか、7:3とするのか等)については、はっきりとした基準があるわけではありません。財産の金額の大きさや、結婚期間における夫婦の就労状況等、事案毎に、様々な事情を総合考慮して決めることになります。

 

4 まとめ

清算的財産分与の割合は2分の1が原則ですが、上述のような場合には修正されることがありえます。ただしあくまで原則は2分の1ですので、それを修正するには、修正されるだけの理由を、丁寧に主張立証することが不可欠です。どのような証拠をそろえたらよいのか、2分の1を修正するとしてどのような割合を主張すべきなのかは、依頼者の方毎に1件1件異なりますので、詳しくは弁護士にご相談下さい。

【コラム】離婚調停は相手と顔を合わさずにできるか?

2020-09-15

離婚調停では、裁判所が指定した期日と時間に、夫妻双方が裁判所に出向く必要があるのが原則です。

*遠方の場合は片方の当事者については電話での出席が認められることも多いですが、ここでは実際に出席する場合を前提にお話しします。

まずは受付をして、夫婦それぞれ、別々の待合室で、調停室に呼ばれるのを待ちます。調停室には、夫婦が順番に別々に呼ばれて調停委員と話をし、その話がもう一方に伝えられます。これを繰り返して合意点を見出していきます。そして、合意ができた際には、調停委員に加えて裁判官も参加し、夫婦双方が調停室に同時に入り、最終的な合意内容(調停調書の内容)を確認して、終了となることが多いです。

しかし、離婚調停で、相手方と直接顔を合わせたくないという方が少なくありません。特に、相手方からDV(身体的なものだけでなく、精神的なものも含む)を受けていたような方は、相手方の顔が少し見えただけでも、体調が悪くなってしまう場合もあるので、切実な問題です。そのような場合、事前に裁判所に要望を出すことで、相手方とできる限り顔を合わせないように配慮してもらえる場合があります。離婚調停の申立時に、裁判所に提出が必要な書類の1つである「進行に関する照会回答書」に「裁判所に配慮を求めること」を記載する欄がありますので、そこに配慮を求める内容を記載し、また実際に調停が始まる前に、裁判所と電話でも打ち合わせをしておくと万全です。

 

具体的に相手方と直接顔を合わせないようにするための方法としては、以下のようなものがあり得ます。ただし、管轄の裁判所の広さや部屋の数によって、対応可能な内容は変わってきますので、全ての裁判所で以下のような方法がとれるわけではありません。

 

1 呼び出し時間や終了時間を変えてもらう

例えば調停の開始時間が午前10時であれば、夫婦双方がその時間に裁判所に到着していることが原則です。ただし、同じ時間に到着することになると、待合室までの道中で遭遇してしまう可能性があります。そこで、夫から先に話を聞く期日の日には、夫の呼び出し時間を午前10時、妻の呼び出し時間を午前10時半にする等して、呼び出し時間を変えてもらえる場合があります。

終了時間についても、例えば自分が調停室で話す番が午前11時半に終了し、その後相手方が午前11時半から12時まで話す番になるというときには、相手方が調停室で話をしている間に先に帰らせてもらう、等の配慮をしてもらえることがあります。

 

2 待合室の階を変えてもらう

妻と夫の待合室は別々であることが多いです。ただし、同じ階にあることが多いので、同じ階に相手がいることに不安を感じられる方もいます。その場合、裁判所の空き部屋に余裕があれば、待合室を別の階にしてもらえる場合もあります。

 

3 最終的な合意内容の確認を別々に行う

最終的な合意内容の確認は、間違いがないように、夫婦同席で行うことが多いですが、どうしても顔を合わせたくないという場合には、別々にしてもらえるでしょう。弁護士が代理人として付いている場合には、①夫本人・夫の弁護士・妻の弁護士②妻本人・妻の弁護士・夫の弁護士というように、代理人が本人の代わりにそれぞれ最終確認の場に参加することもあります。

 

4 まとめ

離婚調停では、相手方と顔を合わせず実施してほしいという要望も多いため、裁判所も可能な限りの配慮をしてくれると思います。相手方と顔を合わせることが心配で、離婚調停の申し立てをしようか迷っているという方には、このコラムが参考になれば幸いです。

【コラム】払いすぎた婚姻費用は清算されるのか?

2020-08-23

離婚前に別居をしている場合、収入の高い方から低い方へ、配偶者及び子どもの生活費として、婚姻費用を支払う義務があります。この婚姻費用の金額については、当事者間で話し合って決める場合と、裁判所の調停等で決める方法があります。相場としては、裁判所が公表している婚姻費用の算定表を用いることが多いです。ただし、実際には、収入が高い配偶者の方が、復縁を希望している等の理由から、取り決めた金額を上回る婚姻費用を支払っている場合もあります。しかしいざ離婚することになると、過去に婚姻費用を支払いすぎているので、それを清算してほしいという主張がされることが少なくありません。このような主張は認められるでしょうか。

 

1 過去に支払いすぎた婚姻費用は財産分与で調整

支払いすぎの婚姻費用がある場合には、その分が財産分与の前渡しとみなされ、財産分与の中で調整することができます。

最高裁昭和53年11月14日(判時913・85)は、「財産分与の額及び方法を定めるにつき当事者双方の一切の事情を考慮すべきことは民法771条、民法768条3項の規定上明らかであるところ、婚姻継続中における過去の婚姻費用分担の態様は右事情の1つに他ならないから、裁判所は当事者の一方が過当に負担した婚姻費用の清算のための給付をも含めて財産分与の額及び方法を定めることができる」としています。

 

2 どんな場合に財産分与の中で調整されるのか

まず、当事者双方の収入と子どもの人数を元に、算定表で婚姻費用の金額を確認します。そして、実際に支払われた婚姻費用との差額を計算します。例えば、算定表上の婚姻費用の金額が14~16万円、実際に支払ってきた婚姻費用が20万円であれば、4~6万円が相場よりは多くしはらった分となります。しかし、算定表を上回る金額を支払っていたからといって、当然に、超過分を財産分与の前渡しとして評価されません。当事者が自発的に,あるいは合意に基づいて婚姻費用分担をしている場合に,その額が当事者双方の収入や生活状況にかんがみて,著しく相当性を欠くような場合に限って、超過分が財産分与の前渡しとして評価され、財産分与において考慮されます。裁判所は、この相当性を欠くかどうか(過当に婚姻費用を分担しているか)どうかについては、厳しく判断している傾向にあります。

 

3 判例

算定表を超える婚姻費用が支払われていましたが、著しく相当性を欠いて過大であったとはいえないとされた裁判例を紹介します。

大阪高決平成21年9月4日(家月62巻10号54頁)

(1)事案

夫が妻に対し、約12年間は月額平均約24万円、その後の約2年間は月額20万円の婚姻費用を支払っており、その金額が賞与を除く給与の月額手取額の2分の1をやや下回る額だったという事案です。(より正確には、平成6年×月から平成20年×月までの13年10か月(166か月)の婚姻費用として合計3919万9880円を送金し,このうち,平成17年×月から平成20年×月までの28か月は月額20万円の割合により送金(20万円×28か月=560万円)しているから,平成6年×月から平成17年×月までの138か月に合計3359万9880円を送金したことになり,これを月平均すると,24万3477円(円未満切捨て)となる事案です)

(2)裁判所の判断

・妻は夫と婚姻後,家事や育児に専念し,婚姻して10年ほど経ったころから宗教活動に多くの時間を割くようになったが,更に12年ほどは夫と同居し,宗教活動をしながら育児や家事をする生活を続け,長期間就労していなかった。

・夫が妻や子らを残して出た自宅には家賃を要した

以上の事情等をかんがみると、夫が送金していた,賞与を除く給与の月額手取額の2分の1をやや下回る額(平成17年×月以降はこれを更に下回る月額20万円)が著しく相当性を欠いて過大であったとはいえない。なお、

・妻の収入を0として,標準的算定方式に基づく標準的算定表に相手方の各年度の収入を当てはめると,婚姻費用の標準月額は,平成6年が14万円から16万円の範囲内,平成7年が18万円から20万円の範囲内,二女が成年に達した平成8年×月以降は14万円から16万円の範囲内,あるいは,16万円から18万円の範囲内であるから,この点でも,夫が妻に対して送金した婚姻費用が著しく相当性を欠いて過大であったとまではいえない。

 

4 まとめ

支払いすぎた婚姻費用が問題となるケースでは、その払い過ぎと主張されている金額がいくらなのか、当事者双方の収入や生活状況などを個別具体的に考慮して、財産分与の中で考慮するかどうかを検討する必要があるでしょう。相手方から、支払いすぎた婚姻費用があると主張されている場合には反論できる可能性も十分にありますので、このコラムが参考になれば幸いです。

 

【コラム】相手が既婚者であると知らなかった場合の不貞慰謝料

2020-08-09

不貞相手が既婚者であることを知らなかった場合や、既婚者とは知っていたけれど夫婦関係がうまくいっていないと思っていた場合には、慰謝料の支払いは必要でしょうか。

 

1 故意・過失が必要

不貞行為を原因とする慰謝料は、不貞行為が民法上の不法行為にあたる場合に、支払い義務が生じます。不法行為は、民法709条に「故意または過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」と規定されているように、故意または過失がある場合に成立します。

故意というのは、自分の行為の結果を認識しながら、あえてその行為を行うことです。過失というのは、自分の行為の結果を認識すべきなのに、不注意のためにその結果発生を認識しないでその行為を行うことです。

 

2 不貞行為の故意・過失

では、故意・過失の対象とは何でしょうか。

これには争いがあり、①不貞行為時に相手に配偶者がいること、のみで足りるという見解が1つです。もう1つは、②不貞行為に相手に配偶者がいることだけでは足りず、相手の婚姻関係が破綻していないことまで必要という見解です。以下、具体例をあげて説明します。

 

3 相手に配偶者がいないと思っていた場合

不貞相手が、相手に配偶者がいることは知らなかった場合には、故意は認められません。そこで、相手に配偶者がいると気づかなかったことについて過失(注意義務違反)があるかどうかが、問題となります。

例えば、相手と通常独身者が参加するようなお見合いパーティーで知り合い、相手が独身であるように装っていたようなケースでは、故意も過失も否定されるでしょう。逆に、「離婚している」という噂話を信じ込み、事実確認をせずに相手がすでに離婚して独身であると信じていたようなケースでは、過失があるとして、不法行為責任は免れないでしょう。ただし、過失による場合には、慰謝料の減額事由として考慮される場合があります。

 

4 相手に配偶者がいるのは知っていたが、婚姻関係が破綻していたと思っていた場合

相手が結婚していることは知っていたものの、相手が「自分の家庭はうまくいっていない」「必ず離婚する」と言っていたので、これを信じて不貞行為に及んだという場合に、故意過失は否定されるでしょうか。

不貞行為は、婚姻関係が破綻していた場合には賠償責任を負わないことから(詳しくは「婚姻関係破綻の抗弁」のコラムをご覧ください)、婚姻関係が破綻していないことについて故意過失の対象とするという考え方が上述の②です。ただし、この立場に立っても、実際に、故意過失が否定されることはほとんどありません。

既婚者が不貞行為に及ぶにあたり、「夫婦中が不仲である」「配偶者と離婚する」ということを誘い文句にすることはあり得ることであり、そのことが真実であるとは限らず、そのような言い分を無批判に受け入れただけでは、故意過失が否定されることは通常ありません。

しかしながら、不貞行為に及ぶにあたり、相手の関係が必ずしも円満ではないと認識をしていたことは、損害賠償額の算定にあたって、慰謝料の減額事由として考慮される場合があります。

 

5 まとめ

以上、不貞相手が既婚者であることを知らなかった場合には、具体的な事情次第で過失がないと言えるのであれば、慰謝料の支払い義務は負いません。一方、相手が既婚者とは知っていたけれど夫婦関係がうまくいっていないと思っていたという場合には、故意過失がないことを理由に慰謝料の支払い義務を免れることはほぼないといえるでしょう(ただし、婚姻関係破綻の抗弁が認められた場合には、慰謝料の支払い義務を負いません。すなわち、客観的に見て夫婦関係が破綻していた場合にはすでに守られるべき平穏な生活が存在していなかったと言えるからです)。

 ただし、いずれの場合でも、慰謝料の減額事由として認められる可能性はあります。具体的に不貞相手とどのようなやりとりがあったのか、証拠はあるのかによっても主張の仕方は異なりますので、詳しくは弁護士にご相談ください。

【コラム】年金分割について

2020-08-02

離婚後に経済的に自立して生活していくことを考えたときに、財産分与や慰謝料、お子さんがいる方は養育費がまずは頭に浮かぶと思います。そしてもう1つ、忘れていただきたくないのが、離婚後の老後の生活を支えてくれる年金です。このコラムでは、年金分割について説明させていただきます。

 

1 年金分割とは

配偶者間には収入の差があることが通常で、そのため離婚後に受け取れる老齢年金の額に格差が生じます。この不公平さを離婚時に解消し、多い方の婚姻期間中の厚生年金の納付記録(標準報酬月額・標準賞与額)を分割して、少ない方へ移転するのが年金分割制度です。

 

2 前提条件

(1)配偶者が厚生年金に加入していること

これは配偶者が、被用者が加入する厚生年金(2015年10月に共済年金が厚生年金に統一されたので、共済年金の加入者も含みます)に加入している場合に適用になります。配偶者が自営業者で国民年金に加入している場合には、適用になりません。

(2)離婚等をした火の翌日から起算して2年以内であること

年金分割には、請求期限があります。原則、離婚等をした日の翌日から起算して2年以内であることが条件になります。

 

3 合意分割と3号分割(当然分割)

年金分割には、2つの制度があります。合意分割と3号分割(当然分割)です。

(1)合意分割

当事者あるいは裁判手続で決めた割合にしたがって、年金分割がなされます。当事者間で合意ができない場合には、裁判所で按分割合を定めてもらうよう請求ができます。按分割合の上限は50パーセントです。

(2)3号分割

上述の合意分割は、当事者間か裁判所で分割割合を定めたことが必要になるので、按分割合について話し合いをしたりする手間がかかります。しかし、2008年(平成20)4月1日以後の婚姻期間分のうち、第3号被保険者(被扶養配偶者)である期間については、第3号被保険者の請求により、当該期間の相手方の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を2分の1ずつ、当事者間で分割することができます。

厚生年金の3号被保険者というのは、会社員や公務員の配偶者の扶養に入っている方です。夫が会社員や公務員で、妻が専業主婦あるいは扶養の範囲内でパート勤務等をしているという場合には、これに該当するでしょう。

この場合には、上述の合意分割のように、当事者間や裁判手続での合意は必要なく、当然に2分の1で分割がなされます。

(3)両方の制度が関係する場合

2008年4月1日以前に結婚した方等については、両方の制度がかかわる可能性があります。合意分割の請求が行われた場合、婚姻期間中に3号分割の対象となる期間が含まれるときは、合意分割と同時に3号分割の請求があったとみなされます。したがって、3号分割の対象となる期間は、3号分割による標準報酬の分割に加え、合意分割による標準報酬の分割も行われます。

 

4 年金分割すると、実際にいくら年金がもらえるの?

以上年金分割の制度を説明しましたが、2つの制度があって少しわかりにくいですよね。

実際に年金分割を行った場合、どのくらい年金が増えるのかについて、具体的な金額を知る方法があります。

年金分割の手続を実際に行うには、最寄りの年金事務所にて、「年金分割のための情報通知書」という書類の取り寄せが必要になります。その書類の請求の際に、50歳以上の方または障害年金の受給権者が、分割後の年金見込額を希望される場合には、分割後の年金見込額を知ることができます。分割後の年金見込額を希望される場合は、情報提供請求書の所定の欄にその旨を記入し、年金事務所へ提出しましょう。そうすると、①50パーセントで按分した場合②分割を行わない場合③ご本人希望の按分割合で分割した場合の年金見込額(3パターン)を知ることができます。この見込み額を知ることにより、より具体的に離婚後の老後の生活のイメージがつくと思います。

 

5 まとめ

年金分割については、年金の受給年齢が近い方は関心が高いと思いますが、まだ受給は先という方にとっては、離婚において様々なことを決めなければいけない状況の中で、見落としてしまうことがあるかもしれません。しかし、年金は老後の生活にとってとても重要ですので、年金分割についても、必ず忘れずに合意を行っていただきたいと思います。

【コラム】負債と財産分与

2020-07-19

離婚の際に、財産分与が問題になりますが、預金や保険などのプラスの財産だけではなく、住宅ローンや車のローンなどのマイナスの財産があるという方も多くいらっしゃると思います。財産にプラスの財産とマイナスの財産の両方がある場合には、どのように財産分与額を計算したらよいのでしょうか。これは「清算的」財産分与について問題となるので、このコラムでは財産分与の3つの性質についてまずは説明した上で、清算的財産分与と負債について解説します。

 

1 財産分与の前提知識

このコラムの前提となる知識として、そもそも、財産分与には、3つの性質があります。

1つは、①清算的財産分与です。これは夫婦が結婚している間に協力して築いた財産を清算するというものです。2つめは、②扶養的財産分与です。これは、離婚後の生活が経済的に困難になる一方の配偶者を扶養するという性質のものです。3つめは、③慰謝料的財産分与です。これは、離婚原因を作った責任のある配偶者から、他方の配偶者に対する精神的苦痛に対する慰謝料としての性質です。

財産分与のメインは、①清算的財産分与です。③慰謝料的財産分与については、実務的には、別途慰謝料を財産分与とは別に請求することが多いので、財産分与に慰謝料を含めて考えることは、ほとんどありません(個別算定方式)。

②の扶養的財産分与は、清算的財産分与や慰謝料があっても、なお生活に困る場合に、補充的に認められるものです。乳幼児を監護していたり、病気や高齢であったりするため経済的自立が不可能あるいは困難な場合に、離婚後扶養としての財産分与が認められる場合があります。扶養なので、一方の配偶者(権利者)が扶養を必要としている状態なのかどうか、もう一方の配偶者(義務者)の扶養能力が審理されます。具体的には、双方の収入や財産状況、清算的財産分与や慰謝料の有無及び金額、破綻の経緯や現在の生活状況などを考慮して事案ごとに金額が決められます。支払い方法は、相手方に資力があれば一括払いとされ、一括払いが困難な場合には定期金(毎月○万円と一定額を支払うもの)とする方法があります。実務上、定期金の場合には1年~3年程度とする事案が多いようです。離婚後1~3年程度の生活費を賄える程度の給付をすれば足りるという考え方ですね。

 

2 清算的財産分与の計算方法

清算対象財産に、積極財産(預金などプラスの財産)と債務(借金や負債)がある場合には、積極財産の総額から債務総額を差し引いた残額分与割合を乗じて各自の取得額を算出し、すでに各自が自己名義としている積極財産と債務を差し引いて、分与額を決めることが多いです。では、この計算の際に考慮される「債務」はどのようなものがあるでしょうか。

(1)考慮される債務

・教育費や医療費のためのローンのような、夫婦が結婚生活を続けていく上で必要になる費用のための債務(民法761条・日常家事債務)

・住宅ローンのように実質共有財産を購入するための債務

・生活費の補填のための債務

(2)考慮されない債務

・遊興費

・ギャンブル

・個人的な連帯債務

・事業のための債務

このように、積極財産から債務を差し引いた上で、債務を上回る積極財産がある場合には、清算的財産分与がなされます。

 

3 債務超過となった場合

積極財産から債務をさし引いた結果、債務超過となる場合には、清算的財産分与はできません。裁判実務でも、債務自体を、一方から他方に負担させるような負の財産分与を命じられることはありません。

ただし、債務超過の場合でも、扶養的財産分与や慰謝料的財産分与は問題となり得ます。

 

4 まとめ

結婚生活の中では、プラスの財産とマイナスの財産が両方あることの方が多いと思います。いざ財産分与と行う場面になって、それまで全く知らなかったり、存在は知っていたけれども詳しい金額までは知らなかったという他方配偶者の財産が判明することも少なくありません。財産分与額を決めるにあたっては、それぞれの財産を細かくリストアップして計算を行う必要がある場合も多いので、お困りの方は、弁護士にご相談ください。

【コラム】モラハラでお悩みの方へ

2020-06-16

モラルハラスメント(モラハラ)は、離婚で問題となることが多い事の1つです。モラルハラスメントとは精神的虐待や精神的暴力を意味します。明確な法律上の定義があるわけではないのですが、わかりやすく説明すると、夫婦喧嘩の域を出て、相手の人格を無視したり軽視したりするような言動により、相手に嫌がらせをすることがモラルハラスメントであるといえます。

モラルハラスメントについては、①どうやって証明するのか②モラルハラスメントを理由に離婚を求めることができるか③慰謝料請求ができるか、の3つの点が問題になるので、それぞれ分けて考えてみたいと思います。

 

1 証明方法

モラルハラスメントの加害者は、自分が正しいと思い込み自分の非を認めない人が多いです。そのため、モラルハラスメントがあったという事を主張しても、相手からは否定されてしまうことがほとんどです。

相手がモラルハラスメントを否定してきた場合には、その存在を証明することが必要になります。①加害者の言動を記録した録音・録画②加害者からのメール・LINE・SNS・手紙等に、具体的なモラルハラスメント言動が記録されている場合には、有力な証拠になるでしょう。また、③モラルハラスメント言動等を目撃した家族の証言や陳述書(家族の見聞きした内容をまとめた書面)も証拠となります。さらに、④被害者自身が作成した日記やメモ等も、証拠となりえます。日記やメモは、「いつ」「どんなことを言われたのか」「どんな態度をとられたのか」を、なるべく詳しく記録をしておくことが大切です。

また、調停や裁判では、被害者自身で⑤陳述書というタイトルの文書を作成し、具体的なモラルハラスメント言動の時期や内容、それによってどのような精神的苦痛を受けたのかをまとめ、証拠として提出することが多いです。

 さらに、モラルハラスメント言動を受けたことでうつ病などを患った場合には、心療内科等を受診して⑥診断書を取得しておくことも大切です。

 

2 モラルハラスメントが離婚事由になるか

モラルハラスメントを理由に離婚を求める場合、相手が離婚に応じない場合には、裁判を起こす必要があります。裁判では、相手が精神的なダメージを受けて夫婦間の信頼関係が破壊され、修復が困難になっているケースであれば、離婚事由(民法770条1項5号「その他婚姻生活を継続し難い重大な事由」)があるとして、離婚が認められるでしょう。

裁判例では、妻が夫に対して長期間にわたり、「いじめられた」「結婚して損をした」「実母とべったりだ」等具体性のない非難を並べたり、「威張るな」「ばか、何をいいやがる」などの暴言を吐き、食事や寝室を別にして夫を家庭内で孤立させる等したことから、婚姻関係が破綻したとして、離婚が認められた事案があります(横浜地判昭59・2・24 判タ528号290頁)。

 

3 モラルハラスメントを理由に慰謝料を求めることができるか

 夫婦の日常生活や通常の夫婦喧嘩において受忍すべき限度を超えて相手に精神的苦痛を与える言動が認められ、それによって離婚に至ったようなケースでは、慰謝料請求が認められる場合があります。

 裁判例では、夫が妻に非があると決めつけて非難し、妻に対して「出て行ってくれ」と実家に帰るよう求め、実家にいる妻に対して一方的に離婚届を送付し、その後の関係修復に向けた話し合いも拒んだ等の頑なで自己中心的な夫の態度が、婚姻関係が破綻した決定的な原因であると認め、100万円の慰謝料を認めた事案があります(東京地裁平成24年1月19日(平成23年(ワ)第13984号))。

 

4 まとめ

このように、モラルハラスメントにより、離婚や慰謝料が認められる場合があります。しかしながら、どの程度の言動があればモラルハラスメントに該当するのかはっきりとした基準があるわけではないので、その証明は簡単ではありません。特にモラルハラスメントが問題となる場合には、弁護士が丁寧にお話を伺い、どのような方法で証明していけばいいのか等、一緒に考えていきます。配偶者からの精神的虐待を受けている状態は、とても辛い状態で、一方踏み出すのには勇気がいると思いますが、1日でも早くそのような状態から抜け出せるように、私たちにご相談ください。

【お知らせ】2020年ゴールデンウィークの営業日時

2020-04-29

当事務所は2020年4月29日、5月3日から6日はゴールデンウィークの休業とさせていただきます。

上記以外の日は、通常通り営業です。

通常営業時間は、平日は午前10時から午後10時(電話受付は午後9時30分まで)、土日は午前10時から午後7時(所沢は土日いずれか休業の場合あり)、となっています。ご相談ご希望の方は、お電話か電子メールでご予約の上、立川所沢の当事務所までご来訪ください。相談料は初回1時間まで無料となっています。

 当事務所には弁護士が4名在籍し、女性弁護士を指名してのご相談も可能となっています。離婚そのものに関する問題の他、慰謝料、財産分与、親権、面会交流、養育費、など、離婚に関連する様々な相談を扱っています。また、不定慰謝料に関する問題にも力を入れています。離婚や関連する問題に関して悩んでおられる方は、まずはご相談ください。

【ご案内】女性弁護士による離婚相談

2020-04-22

多摩中央法律事務所には令和元年4月現在、女性弁護士は2名が在籍しています。所沢支店長の栗原直子弁護士と同じく所沢支店所属の佐藤奈々子弁護士です。

ただ、栗原弁護士は家庭の事情で当面の間事実上休職しているので、女性弁護士としては佐藤弁護士だけが実働となっています。女性弁護士による対応をご希望の場合は電話かメールで相談予約の際に女性弁護士に相談したい旨をお伝えください。所沢はもちろん、立川でも佐藤弁護士による対応が可能です。

 離婚やそれに関する相談(慰謝料、財産分与、親権、養育費、など)については女性弁護士による相談対応を希望する女性の方はよくおられます。当事務所では佐藤弁護士は多くの離婚やそれに関する案件を扱ってきているので、遠慮なく女性弁護士をご指名ください。

 離婚の相談に関しては、初回1時間までは無料です。ご相談ご希望の方は、まずは、お電話か電子メールでご予約の上、立川所沢の事務所までご来訪をお願いします。なお、弁護士のスケジュールに空きがあれば、当日の予約も可能です。

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