Archive for the ‘財産分与’ Category

【コラム】積立型保険と財産分与

2020-10-18

夫婦いずれの名義で加入しているかに関わらず、生命保険や医療保険などの保険のうち、掛け捨て型ではない積立型(貯蓄型)の保険は財産分与の対象となります。積立型の保険は、満期を迎えるか、途中解約によって返戻金が発生するので、その解約返戻金が分与の対象になります。(掛け捨て型の保険は、返戻金が発生しないので、財産分与の対象となりません。)積立型保険がある場合、財産分与額をどのように計算をしたらよいのか、このコラムで解説します。

なお、このコラムの前提として、結婚後の保険料は、夫婦いずれかの給与収入などの共有財産から支払われていることを前提とします。支払った保険料の原資が、全額特有財産(結婚前から持っていた預金や相続財産等)である場合には、財産分与の対象にはなりません。また、以下の説明は、離婚前に別居をしている前提として説明していますが、別居していない場合には、別居時=離婚時と読み替えてください。

 

1 結婚後に加入した保険

結婚後に加入した保険については、加入~別居時までの、解約返戻金が分与対象となります。別居時に保険を途中解約したと仮定した場合の、解約返戻金の金額を調べ、その金額が分与対象額となります。

 

2 結婚前から加入している保険

結婚前から加入している保険については、「加入~結婚までの保険料の支払いに対応する返戻金」は特有財産として分与対象となりませんが、「結婚~別居時までの保険料の支払いに対応する返戻金」は共有財産として分与対象となります。

例えば、以下のようなケースで考えてみましょう。

  • 平成5年1月 夫が保険に加入
  • 平成10年1月 結婚(この時点での解約返戻金は50万円)
  • 平成20年1月 別居(この時点での解約返戻金は150万円)

この場合に、財産分与の対象となるのは、③150万円-②50万円の100万円です。

もし、②の結婚時点での解約返戻金額が調べてもわからない場合には、加入期間を「加入後から結婚」までの期間と、「結婚から別居」までの期間で按分し、「結婚から別居」の期間に対応する返戻金の金額を計算しましょう。

 

3 解約返戻金の調べ方

上記のような計算をするにあたり、ある時点での解約返戻金がいくらなのか、調べる必要があります。保険証券に、例えば加入から1年で解約した場合には○円、5年で解約した場合には○円、というような一覧表が載っている場合には、その金額が参考になります。保険証券に解約返戻金について記載がなかったり、はっきりとした金額がわからない場合には、保険会社に照会をして、解約返戻金の金額を教えてもらいましょう。

 

4 まとめ

医療保険や生命保険は、積立型の保険に加入している方も多く、加入期間が長いと返戻金の金額も高額になることも少なくありません。ぜひこのコラムを参考に、財産分与の計算方法を確認して下さい。ご不明な点がある場合には、お気軽に当事務所の弁護士にご相談下さい。

 

 

【コラム】離婚時における学資保険の扱い

2020-04-02

お子さんがいる夫婦が離婚する場合、学資保険に入っていた場合には、学資保険を離婚後も継続するのか、あるいは解約するのか、悩む方も多いと思います。学資保険については、離婚では財産分与の場面で問題となることが多いです。そこで、このコラムでは、学資保険が財産分与の対象となるかどうかと、主な3つの分け方を説明していきたいと思います。

 

1 そもそも財産分与の対象財産か

学資保険は子どもの教育資金のための保険なので、夫婦間の財産分与の話になると聞いても、ピンとこない方もいらっしゃるかもしれません。しかし、学資保険の保険料が、結婚している間に夫婦のどちらかが稼いだお金(夫婦が協力して築いた財産)から支払われた場合には、学資保険も夫婦の財産の1つとして、財産分与の対象になります。逆に、学資保険の保険料が、例えば結婚前の預金のような、夫婦各自の固有財産から支払われている場合には、財産分与の対象にはなりません。

 

2 主な3つの分け方

ここでは、契約名義は夫、妻が親権者、保険の解約返戻金が200万円、保険は満期前、というケースで考えてみましょう。(学資保険が財産分与の対象となること、財産分与の割合が2分の1で争いがないことを前提とします)

  • 解約して戻ってきたお金を分ける

まず、保険を解約して戻ってきたお金を分ける方法があります。上記の例でいうと、200万円の解約返戻金を、夫婦で100万円ずつ分けることになります。

ただし、学資保険を満期前に解約すると、元本割れすることが多いことに注意が必要です。解約する場合には、これまで払い込んだ金額と、解約して戻ってくる金額をよく確認して決めましょう。

(2)保険を継続した上で、名義人から解約返戻金の半額相当額を支払う

 保険を継続した上で、保険の名義人となる方から、そうではない方に、解約返戻金の半額相当額を支払う方法もあります。保険の名義人になるということは、保険の解約返戻金相当額の財産を手にする事と同じなので、その半額相当を相手に支払います。

上記の例でいうと、夫が契約名義人を続ける場合には、夫から妻へ100万円を支払います。妻が契約名義人になる場合には、夫から妻への名義変更を行った上で、妻から夫へ100万円を支払います。(なお、学資保険以外に、預金や不動産等の他の財産がある場合には、それらの財産分与額を決める中で、100万円分の支払い分を考慮して、最終的な分与額を決めることになるでしょう)

  • 財産分与の対象から外す

学資保険は子どもの教育資金のための保険なので、財産分与からは外し、学資保険をどうするかは財産分与とは別に考えるという方法もあります。

上記の例でいうと、夫から妻へ名義変更を行うが、妻からの100万円の支払いはしないということになります。あるいは、夫が名義人のままで、夫からの100万円の支払いはしないということになります。

夫婦間で合意ができれば、このように、財産分与からは外すという選択もできます。ただし、今後も保険料の支払いが必要な場合には、保険名義人となった方が途中で保険料を支払えなくなったり、満期前に解約してしまう等のリスクがあることは、よく頭に入れておきましょう。

 

 以上、このコラムでは、学資保険と財産分与について、説明させていただきました。離婚にあたり、お子さんの教育費をどうするかは、心配が尽きないと思います。学資保険に入っている場合には、月々の養育費に加えて、学資保険の財産分与についても、よく検討して決めていただきたいと思います。

【コラム】浪費と財産分与

2020-03-17

妻が離婚で財産分与を求めると、夫の側から、「妻が洋服やブランドバックを買って浪費をしていたのでその分を財産分与から減らしてほしい」という主張がなされることが、しばしばあります。財産分与は、原則としては、別居時点にある財産を分けるものなのですが、場合によっては、浪費した分は持ち戻して(残っているものとして)計算し、浪費した側は浪費分はすでに使ったとしてその分受け取れる額から差し引くという扱いがされることがあります。

この場合に問題になるのは2点あります。

1 そもそも浪費といえるのか

 「何にいくら使ったら浪費」といえるのか、はっきりとした基準があるわけではないので、そもそも浪費があったといえるのかどうか、争いになることが多いです。

数年間に渡って浪費が行われていたような場合には、その金額をいくらと考えるのか、資料が残っていない場合も多く、金額が争いになることもあります。

また、世帯年収次第では、同じ使途金額であっても、浪費にあたるかどうか、異なる可能性があることにも注意が必要です。例えば、年間に数十万円を洋服やバックに使ったというケースを考えると、世帯年収が少ない世帯では浪費にあたる可能性が高まりますが、世帯年収が多い世帯では浪費にはあたらないとされる可能性もあるでしょう。

 

2 浪費があった場合の財産分与の計算方法

 浪費があった場合の財産分与の計算方法にもいくつかの計算方法がありますが、その1つが、浪費された財産を、実際に別居時にはなくても、あるものとして計算する方法です。

例えば、ある時点では預金が300万円あったものの、浪費により、別居時には預金が0円になっていたとします。この場合、もし浪費がなければ、別居時にも300万円が残っていたはずであると考えて、その2分の1の150万円を分与額と計算する方法です。(ただし財産分与では、その他一切の事情が考慮されるので、単純にこのような計算にならないこともあります。)

 その他、残っていた財産について、財産形成への寄与が異なると考えて、通常は2分の1ずつである比率を変更するという方法もあり得ます。

以上、このコラムでは、財産分与で浪費が問題となった場合の2つのポイントについて、説明させていただきました。離婚の場面で、浪費はよく問題となるのですが、具体的に主張しようとすると、浪費額を具体的にいくらと考えるのか、難しいことが多くあります。また、それをどのように計算して、最終的な財産分与額を決めるのかも、争いになりやすいです。もしお困りの方は、一度当事務所にご相談下さい。

 

 

【コラム】将来の退職金と財産分与

2020-03-13

前回のコラムでは、すでに支払われた退職金の分け方について説明させていただきました。このコラムでは、将来支給予定の退職金の、財産分与の方法について説明させていただきます。

 

1 そもそも財産分与の対象になるのか

既に支給された退職金は、原則として財産分与の対象になります。しかし、これから支給予定の退職金は、勤務先の倒産や経営不振による減額等の理由で、確実に支給されるとはいい切れないため、支給される可能性が高い場合にのみ財産分与の対象となると考えられています。具体的には、定年までの年数の長さや、勤務先の種類(大企業や公務員か、あるいは小企業か)を考慮して、支給される可能性が高いかどうかが判断されます。

 

2 計算方法

将来の退職金は、そもそもいくら支給されるのかがわからないところに難しさがあります。そこで、現時点(別居の場合には別居時点)で退職したと仮定した退職金額を算定して、あとは同居期間に按分して計算する方法をとることが多いです。金額を離婚時に算出することが難しい場合には、「実際に退職金を受領したときに、その受領額の2分の1を支払う」というような合意をする方法もあります。なお、現時点の退職金の額については勤め先に金額を書いた署名を作成してもらう、就業規則から計算する、などの方法が考えられます。

 

3 支払い方法

退職金は高額になることが多いので、離婚の際に退職前だと、相手方に支払い能力がないこともあります。そこで、支払い方法をどのようにするかも問題になります。実際に退職金が支給されたら支払うとする方法もあれば、退職前に支払いを受ける代わりに少し低い金額で合意する等の方法もあります。あるいは、分割での支払いということも考えられます。どのような方法をとるかは、交渉や調停など合意によって決める場合は基本的に当事者にゆだねられています。

 

以上、このコラムでは、将来の退職金の財産分与について説明させていただきました。すでに支払われた退職金とは違い、そもそも財産分与の対象となるのかという問題に始まり、対象となってもその計算や支払い方法については様々な決め方があります。将来の退職金については、財産分与の対象になることに気が付かない方も多いので、請求可能な方はぜひ忘れないでいただきたいと思います。

【コラム】既払い退職金の分け方

2020-03-09

配偶者が会社員や公務員の場合、勤務先に退職金支給の規定があれば、退職金が支給されます。退職金は、賃金の後払い的性格を持っていると言われています(ほかにも功労報償的性格・生活保障的生活があるとされています)。退職金を賃金と同じ性質をもっていると考えると、退職金を得ることができたのは、その会社で勤務を続けることができたからであり、勤務を続けられたのはもう一方の配偶者の協力があってこそ可能になったものといえます。そこで、退職金も、夫婦が協力して築いた財産として、原則的に財産分与の対象になると考えられています。では、具体的にその金額は、どうやって計算したらよいでしょうか。

退職金が既に支払われている場合の、もっともよく使われる計算方法は以下の通りです(なお計算方法は複数あり、どの計算方法が使われるかは事案により異なります)。

退職金額×同居期間÷勤務期間=財産分与対象額

財産分与対象額×2分の1=取得額

例)夫に支給された退職金4000万円 同居期間30年 勤務期間40年

4000万円×30年÷40年=3000万円(財産分与対象額)

妻の取得額:3000万円×2分の1=1500万円

夫の取得額:2500万円

ここで注意をすべき点は、財産分与の対象となる期間が「同居期間」とされていることです。財産分与の対象期間は、夫婦で協力して築いた財産とされているため、離婚までの別居期間については除外されるのが原則です。

また、支給されてから離婚まで時間が経過してしまうと、退職金が使われてしまい、離婚時には少なくなっていたり、残っていない可能性もあります。そうなってしまうと、財産分与として取得できる金額が減ってしまいます。そのため、退職金が支給される時期に合わせて、離婚を決意される方も多いです。

以上、このコラムでは、退職金が支給された場合の財産分与の計算方法を説明させていただきました。退職金は高額なことが多いので、離婚後の生活を考える上で、とても大切なものですよね。支給時期や金額をよく考えて、離婚のタイミングを決めていただきたいと思います。なお、将来支給予定の退職金については、次のコラムで説明します。

【コラム】住宅ローンがある場合の財産分与

2020-01-29

離婚の際に財産の清算を行うことを財産分与といいます。通常は婚姻期間中(別居前)の財産を2分の1に分けるのですが、では、住宅などの不動産はどうすればよいでしょうか?

まず、住宅ローンを完済している場合や一括で購入してローンが付いていない場合は、全額が分与対象の財産となります。例えば、3000万円の価値がある住宅なら、(通常は2分の1なので、特に事情がなければ)1500万円ずつで分けるという方法がげんそくです。ただし、その代金がすべて婚姻期間中に夫婦いずれかが稼いだお金で支払われた場合です。例えば、一部を婚姻前からの預貯金や相続財産で賄っていれば、その部分は分与対象から外して考える必要があります。

では、住宅ローンが残っている場合はどう考えるべきでしょうか?

ここで、住宅の価値は3000万円だったとします。住宅ローンが1000万円残っていれば、価値は2000万円なので、その2000万円が分与対象となります。

問題は、当初に購入したときに一部を夫婦の一方が婚姻前からの預貯金(固有財産)から出していた場合です。

例えば、当初は4000万円の価値があったとして、そのうち500万円を妻が出していたとしましょう。その場合、4000万円のうち500万円、つまりは8分の1を妻が出したことになります。そうすると、今の価値2000万円(ローンを引いた額)のうち8分の1である250万円を引いて、残りの1750万円を分与対象とする、というのが一つの考え方です。この場合、1750万円を2等分すると、875万円ですが、妻は先に8分の1の額を出しているので、それは妻の分となり、250万円は妻の取り分として、合計して1125万円が妻の分、夫は875万円、となります。

(異なる計算方法もあり、この方法は一つの考え方です)

なお、住宅ローンが残っている場合であっても不動産の価値がローン残高を上回っていれば売却して分ければそこで清算ができるのですが、売却しないで片方が住み続ける場合は解決に時間がかかることもあります。単独名義で配偶者の持ち分もローンもない場合にその名義人が住み続ける場合は財産分与をお金でできるのであれば特に問題はないと思いますが、共有であったり一方の名義でももう一方が保証人の場合に一方が住み続けたい場合は、土地の名義変更や保証債務の変更が可能かどうか、という問題が出てきます。

それについては、また別の機会に触れようと思います。

 

 

【コラム】財産分与の対象になる財産・ならない財産

2020-01-26

財産分与(清算的財産分与)は、夫婦での生活において築き上げた財産を公平に分けるという意味を持ちます。

それゆえ、夫婦間で築き上げたものではない財産は分与の対象になりません。

例えば、婚姻前の財産、別居後に得た財産、期間を問わず相続財産、などは対象外です。

一方、婚姻期間中に築いた財産としてはその間に増えた預貯金のほか、住宅(ただし、ローン額を差し引く。マイナスになる場合はゼロ)、退職金(就労期間に対する婚姻から別居までの期間の比率をかける方法で計算することが多い。ただし、複数の計算方法がある)、婚姻後に介入した保険の解約返戻金(婚姻以前からの保険の場合は婚姻から別居までの時間中に増えた分)、などがあります。

また、上記に当てはめれば、必ずしも夫から妻へ分野がなされるとは限らず、逆もありうるので、注意が必要です。

なお、別居時点で存在する財産を分けるのが原則ですので、それまでに使ってしまっていたものは対象になりません。

しかし、片方が使ったと主張していても実は別口座に置いてあった、というようなケースもありうるので、事実関係の調査は丁寧に行う必要があります。

特に、通帳を確認すると多額の預貯金が引き出されているような場合は使途を相手方に尋ねるなどして所在を明らかにするよう努めることが望ましいと思われます。

どのようにして調査をすればわからない、あるいは、相手方が交渉に応じない、というような場合は、離婚案件を取り扱っている弁護士にご相談ください。

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