Archive for the ‘養育費’ Category

【コラム】養育費の時効

2020-09-01

養育費の支払いが滞ってしまった場合に、そのまま何もしないで放っておくと、時効で請求できなくなってしまうのをご存じでしょうか。このコラムでは、養育費と時効について説明します。

 

1 養育費の時効は原則5年

養育費の請求権は、毎月支払期限(弁済期)が来て、その支払期限(弁済期)から5年で時効になるのが原則です(民法166条1項1号)。具体的に言うと、例えば、2020年1月分の養育費は2025年1月に、2020年2月分の養育費は2025年2月に時効となってしまいます。

 

2 養育費の時効が10年になる場合

既に支払い時期が到来した過去の養育費の請求権は、確定判決、審判、裁判所上の和解、調停等、確定判決と同一の効力を有するものによって確定した場合には、上記の消滅時効の期間は、5年から10年に延長されます(民法169条1項)。

ただし、判決や調停等で養育費の金額が確定したときに、まだ支払い時期が来ていない将来の養育費については、たとえ確定判決等によるものであっても、消滅時効の期間は5年です(民法169条2項)。

 

3 時効が迫っている場合にはどうしたらよいのか

時効期間が経過するまでに、裁判や調停を起こす等の方法により、時効期間の経過をいったんリセットしてゼロに戻すことができます(民法147条)。

しかし、調停や裁判を起こすには、書類の準備等に一定の時間が必要です。時効までギリギリの場合には、まずは相手に内容証明郵便で請求内容を記載した文書を送っておきましょう(催告)。これにより時効を一時的に止めることができます。そこから6か月以内に裁判等を起こすことで、時効をリセットすることができます(民法147条)。

 

4 時効期間が経過してしまっている場合

時効期間がすでに経過してしまっている場合でも、養育費の支払いを受けられる可能性はゼロではありません。

時効という制度は、期間が経過しても、それだけで自動的に権利が消滅し、請求ができなくなるわけではありません。相手が時効であることを主張(時効の援用)してはじめて、権利が消滅します。時効期間が経過していても、請求書面を送ったり、裁判を起こすこと自体は可能であり、相手がそれに応じれば、支払いを受けることができます。もっとも、相手に時効の援用を行われてしまうと、請求できなくなってしまいます。

 また、相手が養育費の不払いを認めて支払いの意思表示をしたような場合(承認)にも、完成前であれば、時効はその時点でリセット(更新)され、養育費の請求が可能になります。時効期間経過後の場合は、信義則の問題として原則として時効の援用ができなくなると解されますので、時効期間経過後であっても承認してもらうことには意味があるといえるでしょう。

 

5 まとめ

養育費は不払いが社会問題化しており、諦めてしまっている方も少なくないのが実際です。しかし、そのまま何もしないと、時効で請求権が消滅してしまいます。民事執行法の改正により、未払いの養育費を、相手の財産から強制的に回収する制度が充実しました(詳しくは「養育費未払いの場合の強制執行について」のコラムを参照ください)。養育費の支払いが滞っていてお困りの方は、ぜひお早めにご相談ください。

【コラム】親族からの援助は婚姻費用・養育費に影響するか?

2020-06-25

1 親族からの援助は収入になるのか

離婚する前に別居をしている方の中には、親族から生活費の援助を受けている方も少なくないでしょう。親族からの援助と一口にいっても、毎月一定額を現金で受け取る形もあれば、実家に住まわせてもらい食費や光熱費を親に負担してもらう等、色々なケースがありえます。どのような形であれ、親族からの援助を受けていると、相手方から、通常より婚姻費用や養育費の金額を下げるべき、という主張がされることがあります。これは、婚姻費用や養育費は、子どもの年齢と数、請求する側と相手方の収入を元に金額を元に計算をすることが多いので、親族からの援助を、請求する側の収入額に加えて、金額を計算すべきかどうかという問題になります。このような主張は認められるでしょうか。

 

2 親族からの援助は収入として計算する必要はない

上記のような主張は、認められないと考えてよいでしょう。親族からの援助は、あくまで親族の好意に基づく贈与であり、収入として加算するのは妥当ではないからです。親族から一定額の生活費の援助を受けている場合であっても、実家に住まわせてもらっているような場合であっても、援助を受けている額が請求する側の収入額として加算され、その結果養育費や婚姻費用の金額が下がることは、原則として、ないと考えてよいでしょう。

 

3 働けるにも関わらず働いていない場合

ただし、働く気になれば働けるにも関わらず、親族の援助に頼って働いていない場合には、少し話が異なります。このような場合には、請求する側の収入をゼロとして婚姻費用や養育費の金額を算定するのは妥当ではありません。例えば病気を患っている等で働くのが難しいという事情がなく、潜在的には働く能力(潜在的稼働能力)がある場合には、(現実の収入額ではなく)その稼働能力に応じた収入を認定し、それに基づいて養育費や婚姻費用が計算されることがあるでしょう。具体的には、請求する側の年齢や学歴、職歴などを考慮して、賃金センサス(国が発表している賃金統計)を元に計算されることがあります。

 

4 まとめ

親族から援助を受けている場合、原則として婚姻費用や養育費の金額の計算には影響しません。しかし、働けるにも関わらず、援助に頼って働いていないような特別な場合には、一定の収入があるものとして計算がされる場合があります。養育費や婚姻費用は、裁判所の発表している算定表がベースにはなりますが、それぞれの個別事情をどこまで反映させるかによって金額でもめることも少なくありません。算定表では解決ができない問題点がある方は、ぜひ当事務所にご相談ください。

【コラム】養育費未払いの場合の強制執行について

2020-06-03

調停や裁判で養育費について決めてあっても、途中で支払われなくなってしまうことがあります。養育費が支払われなくなった場合には、まずは相手に支払ってくれるよう連絡をすることが多いと思いますが、それでも相手が支払いを拒んだり、連絡がとれないような場合には、裁判所を通じ、相手の財産から強制的に取り立てる必要があります。これを強制執行といいます。なお、強制執行は、離婚訴訟の和解や判決、離婚調停調書等の債務名義があることが前提の手続きです(当事者間で作成した合意書等により養育費の金額を決めている場合には、まずは債務名義を取得することが必要です。なお、後述の通り、当事者間の合意でも公正証書にして執行認諾文言を入れておけば債務名義となります)

強制執行は、民事執行法という法律に定められています。この民事執行法が改正され、令和2年4月1日から施行されました。養育費の強制執行がしやすくなったと期待されている改正の内容が、今回のコラムのテーマです。

 

1 改正前の問題点

強制的に取り立てようとする相手の財産は、養育費の権利者が自分で特定する必要があります。強制執行の対象となる財産は、給与、預貯金、不動産、株式等がありますが、例えば給与であれば勤務先、預貯金であれば銀行名と支店名がわからないと、強制執行できません。

相手の財産を知る方法として、民事執行法には平成15年に「財産開示制度」が定められました。これは、相手が期日に裁判所に出頭し、自分の財産の内容を述べるという手続です。しかし、この命令に違反して裁判所に出頭しなかったり、虚偽の陳述をしたりしても、その制裁は「30万円以下の過料」でした。過料(行政罰)は、罰金(刑事罰)とは違って、たとえ支払わなくても、労役留置(身体拘束されて労務提供することにより罰金を支払ったことにする制度)がないため、強制力が弱かったのです。そのため、この制度は、ほとんど使われていませんでした。

このように、改正前の民事執行法では、相手の財産がわからない場合に、それを知るための有効な手段がなかったことが問題でした。

 

2 改正のポイント

(1)財産開示制度の改正について

ア 財産開示制度手続を拒否した場合の制裁手続が強化されたこと

改正前は「30万円以下の過料」だった制裁が、「6月以下の懲役または50万円以下の罰金」という制裁に厳しくなりました。制裁が厳しくなったことから、財産開示命令がなされた場合、相手が出頭を拒否したり、虚偽の回答をする可能性が低くなったと言えるでしょう。

イ 財産開示手続が(執行認諾文言付き)公正証書でも利用できるようになった

これまで養育費についての合意が公正証書でなされた場合には、上記の財産開示手続は利用できませんでした。しかし、法改正により、執行認諾文言付き公正証書であれば、利用できるようになりました。なお、「執行認諾文言付き」公正証書とは、公正証書で合意した内容を守らない場合には、すぐに強制執行されることを認めるという内容の文言(例えば、甲は、第○条の債務の履行を遅滞したときは、直ちに強制執行に服する旨陳述した、というような文言)が入っている公正証書のことです。

(2)第三者からの財産情報の開示手続が新設されたこと

上記の財産開示制度は、相手自身に、強制執行の対象として取り上げられてしまう自分の財産を開示させる制度ですから、限界があります。そこで、第三者から相手の財産情報を取得できる手続が新設されました。具体的には、以下の財産については、裁判所に申立をすることにより、裁判所から第三者(銀行、役所、登記所等)に情報を提供するよう命令してもらうことで、情報を得ることができるようになりました。

 

①勤務先(給料等)の情報

→市区町村または日本年金機構など厚生年金を扱う団体から情報提供を受けられるようになりました。

②所有不動産の情報

→登記所から情報提供が受けられる予定となっています。現時点(令和2年5月)では、まだ利用できませんが、政令で定める日(令和3年5月16日までの日)から利用できます。

③預貯金・上場株式や国債等の情報

→預貯金に関しては銀行や信用金庫等の金融機関から、上場株式や国債等については口座管理機関である証券会社等の金融商品取引業者や銀行等から情報提供を受けられるようになりました。なお、生命保険の解約返戻金は対象外となっています。

 

手続の流れとしては、①②は、上述の財産開示手続をまずは経る必要がありますが、③はその必要はありません。以下の裁判所のWEBサイトに手続きのながれがわかりやすくまとまっています。

https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/2020/R02.03kouhou.pdf

 

3 まとめ

相手に自分の財産を開示させる財産開示制度の実効性が強化されたこと、第三者からの財産情報取得手続が新設されたことにより、養育費の支払いを逃れることは、以前と比べて困難になったといえるでしょう。養育費の未払いに困っている方は、ぜひこの新しい制度について知り、未払い分をきちんと回収してもらいたいと思います。強制執行の申し立ての手続きは簡単ではないため、弁護士がお役に立てるところが大きいと思います。お困りの方は、お気軽にご相談ください。

 

 

【コラム】養育費は何歳までもらえるか?

2020-04-10

お子さんがいる方が離婚した場合、養育費をどうするのかは、重要な問題です。養育費の金額は、裁判所が公表している算定表をもとに決められることが多いです。では、養育費は何歳までもらえるでしょうか。このコラムでは、養育費の終期がいつか、というテーマを説明させていただきたいと思います。

 

1 話し合いで決める場合

協議離婚や調停等の話し合いで決める場合には、当事者が合意した期間が支払いの終期となります。

実際の話し合いでは、親権者となる側からは「4年生大学卒業まで」という希望が出され、これに対して相手方からは「高校卒業まで」あるいは「20歳まで」等の望が出てくることが多いように思います。養育費の終期については、離婚をするにあたり決めなければならない他の様々な事項(財産分与や慰謝料等)と合わせて協議を進めていきます。話し合いを重ねても、養育費の終期について合意ができない場合には、養育費の終期は「20歳まで」と譲歩し、その他の条件面では希望を通せるように話し合いを進めるという方もいます。

 

2 裁判所が決める場合

養育費について調停でも合意できない場合には、審判となり、裁判所が判断します。養育費の終期は、子どもが経済的に自立して、親が養う必要がなくなったときです。法律用語でいうと、子が「未成熟子」でなくなったときが、養育費分担義務の終わりの時期です。子が未成熟子にあたるかどうかと、成人しているかどうかは、必ずしも一致しません。未成年の子であっても、働いて自立して生活できるだけの収入を得ている場合には、未成熟子にはあたらないでしょう。逆に、成人していても、病気や障害で働けない場合には、未成熟子と扱われる場合もあります。大学生の場合には、父母の収入、社会的地位、学歴等を総合考慮して、4年生の大学卒業までは未成熟子と扱われる可能性があります。

このように、子がいつ「未成熟子」を脱するかは、事案毎に個別事情を総合考慮して認定判断されますが、その時期を特定するのが難しい場合には、子が未成熟子を脱するのは20歳になる時点と判断されることが多いと思われます。

 

このコラムでは、意外と争いになることが多い、養育費の終時について、記載させていただきました。20歳というのを1つのベースとして、個別具体的な事情を踏まえて、よく検討していただきたいと思います。

 

 

【コラム】通常の養育費以外の子供の費用2

2020-02-25

前回のコラムでは、養育費以外にかかる子どもの費用(高校大学に進学する際の入学金、受験費用、入院してかかった普段より高額の医療費等)の決め方について、離婚後に協議して決めるという合意になることが多いことを説明させていただきました。ただ、請求しても相手が支払ってくれるとは到底思えないと心配な方も、いらっしゃると思います。もし協議が整わない場合には、調停手続を使って裁判所で話し合いをすることもできます。しかし、調停にする前に、特別費用を支払ってもらうのに大切なことがあります。それは面会交流が順調に継続されていることです。

面会交流が上手く継続していれば、面会交流の中で、子どもからお父さんに、「〇〇学校に進学しようと思うけど、応援してもらえないか」という相談をする機会があるでしょう。「元妻からの請求では支払う気がおきないが、子どもから直接言われたら応援したくなる」というお父さん、実際には多いようです。そのため、面会交流が順調に続けられていることが、特別費用を支払ってもらうためには、とても大切なことです。もちろん、養育費をきちんと支払ってもらうためにも大切です。

面会交流と養育費・特別費用の支払いは、車の両輪のように、両方が大切なものです。もし、どちらかでもうまくいかなくなってしまった場合には、当事務所にご相談下さい。

【コラム】通常の養育費以外の子供の費用1

2020-02-22

未成年のお子さんがいる夫婦が離婚する場合、毎月かかる子どもの生活費や教育費については、養育費として合意します。もっとも、子どもを育てていると、ある時期に、まとまったお金が必要になることがありますよね。例えば、高校大学に進学する際の入学金、受験費用、入院してかかった普段より高額の医療費等です。これらの特別の費用についても、離婚の際には忘れずに決めておいてほしいと思います。ではどんな風に決めたらよいのでしょうか。主に2つの方法があります。ここでは、夫が妻より収入が高く、妻が親権者となって子どもを育てるケースで説明します。

 

1 事前に割合を決めておくケース

例えば、「全額夫が負担」あるいは「2分の1ずつ」と、事前に負担割合を決めておく方法があります。女性の方は、離婚後、出費があるごとに夫と協議をするのは難しいので、事前に割合を決めておくことを希望する方が多いように思います。もちろん、夫がこれで合意してくれれば、そのような定めが可能です。しかし、実際には、夫からは「事前の相談もなく、当然にかかった費用を支払う約束はできない。」と反論されることが多いです。例えば、受験費用ならば何校受験するのか、私立なのか公立なのか、そういったことによっても費用が変わってくるので、事前に相談なしに、後から領収書等だけを渡されて支払うことはできないという主張です。そのため、後述のように、「協議して決める」という内容になることが、実際には多いと思います。

 

2 協議にするケース

特別の費用については、「協議して決める」となることが、実際には多いです。離婚調停でも、前述のように事前に割合を定めることを希望しても、相手が拒否した場合、協議して決めるという条項にするよう、裁判所から勧められることが多いと思います。あるいは、「2分の1ずつ負担するが、特別費用の内容や金額について、事前に協議をすることにする」というように、事前に協議をすることを条件に、負担割合だけ決めておく方法もあります。

万が一、離婚後に協議しても合意ができなかった場合には、調停を利用して裁判所で話し合うことができます。

 

今回は、特別費用の決め方を2つご説明しました。離婚にあたって、お子さんにかかるお金に関する心配は尽きないと思います。養育費だけではなく、特別費用についても、忘れずに決めておいて下さいね。

 

 

 

 

【コラム】養育費の額は変更できるか?

2020-02-02

養育費を決定するためには、交渉、調停、審判、などいくつかの方法があります。

では、一度養育費の額が決まった場合、後から変更できるでしょうか?

まず、当事者同士で合意できれば、変更は可能です。

では、相手方の合意を得られなかった場合はどうでしょうか?

その場合は、養育費変更の調停を申し立てることができます。調停でもまとまらない場合には、審判に移行します。

ここで実際に変更がされるためには、事情の変更が必要です。すなわち、増額が認められるためには、権利者の収入が著しく減少した、義務者の収入が著しく増加した、などの事情が必要です。また、減額が認められるためには、権利者の集中が著しく増加した、義務者の収入が著しく低下した、義務者に新たに養育すべき妻を得たり子が生まれた、などの事情が必要です。権利者が再婚して再婚相手と子の間に養子縁組が成立した場合も減額できる可能性があります。いずれにせよ、事後的に変更することが必要な事情であることが求められるので、当初定めた額が少なすぎたから、あるいは、多すぎたから、というだけでは通りにくいと解されます。それゆえ、養育費について最初に定める際に、特に合意で定める場合、相手方の要求通り定めてしまうようなケースもありますが、できる限り妥当な範囲内で決められるように、十分な知識を持つ弁護士に相談して決めることが望ましいといえます。

 養育費の変更についても、弁護士は交渉、調停。審判、いずれの段階でも代理人を務めることができます。養育費の増額や減額を求めたい、それらを求められて困っている、という方はまずは弁護士にご相談ください。養育費に関する相談も、当事務所では初回1時間無料とさせていただいております。

【コラム】婚姻費用・養育費って?

2020-01-31

離婚をしたい!と思う方の中には、「今すぐ別居したい。けど生活費が・・」という方もいるのではないでしょうか。

しかし、離婚前の別居中でも婚姻費用を請求することができる場合があります。また、お子様がいらっしゃる場合には、離婚後に養育費の請求もすることができます。

以下では、婚姻費用・養育費についてそれぞれ説明します。

 

〇婚姻費用とは

文字通り、「婚姻生活に必要な費用」を意味します。

法律では、夫婦は結婚すると「結婚相手に自分の生活と同じ程度の生活を過ごさせること」が義務付けられます(生活保持義務)。

これが、別居してしまうと、一方が、他方に比べて収入が低いために、生活の程度に差が出てしまいます。そのため、収入が高い方が低い方に、生活費を交付しましょう、ということになり、これがいわゆる婚姻費用です。家庭裁判所では略して婚費という言い方をすることも多いです。

では、その金額をどのように考えるかが問題ですが、裁判所が婚姻費用の算定表を作成・公表しており、実務ではこの算定表に基づき算出されることが多いです(令和元年12月23日に改定されました)。しかし、算定表に双方の収入を照らし合わせて算出すれば簡単だね!とはならいこともあるのに注意です。

例えば、出て行った方が、残っている配偶者が住んでいる自宅の家賃や住宅ローンを払い続けていたりした場合には実質的に婚姻費用の支払いと考えて減額される場合がありますし、そもそも算定表に当てはめる双方の収入額に争いが生じる場合もあります(個人事業主の場合など)。また、子供が多いなどで算定表に当てはまる例がない場合は、計算式に当てはめて計算する必要があります。

なお、婚姻費用の具体的な金額については交渉、調停、または、審判で決定します。調停でまとまらなくても審判移行するので、最終的には法律に基づいて決められます。

なお、調停や審判で定めた場合、あるいは公正証書で定めて執行認諾文言を入れた場合には、支払われない場合、強制執行が可能です。

〇養育費とは

では、離婚が成立した場合には、法律上も夫婦ではなくなるので、婚姻費用は請求できなくなります。他には何も請求できないのでしょうか。

夫婦に子供がおり、その親権を母親が獲得した場合、父親には母親に対して養育費を支払う義務が生じます。

基本的には離婚時から子供が20歳になるまで、支払義務が生じるものと考えられており、金額については婚姻費用と同様に裁判所から算定表が公表されているところです。

なお、養育費について、現実化するためには交渉や調停などで決めることが必要です。離婚の際にそれらの方法で決めておくと良いでしょう。交渉や調停で合意に至らなくても、離婚が成立した場合は、養育費については審判で決定されますのでご安心ください。

仮に離婚時に定めなかった場合は、後からでも交渉、調停、審判で決めることができます。また、離婚訴訟の場合には一緒に養育費についても決めてもらうことができます。ただし、それらにより請求する前の分までさかのぼって請求できるかは議論があり、遡れないという扱いがされることもあるので、できるだけ早く請求をしましょう。なお、決まった場合の未払いについては、時効になる前であれば請求可能です。

養育費を調停や審判、裁判で、あるいは公正証書で定めて執行認諾文言を入れた場合には、強制執行が可能です。通常、相手方の給与を差し押さえる場合が多いですが、勤め先が分からない場合は自分で調査して明らかにする必要があります。また、相手方が不動産などの資産を持っていればそれを差押えることができる場合もあります(銀行などの抵当権が担保している債権の残高のほうが多いとうまくいきませんが)。

婚姻費用や養育費についても弁護士に相談したり、交渉や調停等を依頼することもできます。

また、未払いの場合の請求、執行の代理もできます。

さらに、養育費変更の調停をご依頼いただくこともできます。

婚姻費用や養育費について困っている場合は、まずは弁護士にご相談ください。

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