育児中の女性が離婚をするに当たって気を付けるべきこと ②親権・面会交流編

育児中の女性が離婚の際に気を付けないといけないことは多くありますが、今回は、そのうち親権や面会交流に関することについて述べさせていただきます。なお、このコラムでは、親権をとって育てていくことを希望していることを前提に解説させて頂きます。

親権について

離婚をする際に、未成熟子(未成年の子であって成人擬制がされていない子)がいる場合、必ず親権者を決めないといけません。親権者をどちらにするか合意ができていないと、たとえ離婚すること自体に争いがなくても離婚は決まらないことになります。では、親権はどのようにして決めるのでしょうか?

まず、双方で合意ができれば、それが尊重されます。離婚届に合意した通りに記入すれば問題ありません。では、合意できない場合はどのようにして決めるのでしょうか?

これは、まず、離婚の調停により、その中で話し合って決めるということが考えられます。もっとも、そこでも合意に至らないと、離婚調停は不調で終わるということになり、その場合に離婚をするためには裁判という手段が考えられます。裁判で離婚請求が認容される場合には、判決で判断がされます。

裁判所は親権を決めるに当たり何を重視しているか?

裁判所は何を重視して親権者を決めているでしょうか? 女性の方は、「母親優先」という話をどこかで聞いて安心しているかもしれません。しかし、必ずしも女性だから親権を取れるとは限りません。たしかに、裁判所は特に子供が小さい間は母親を親権者にする傾向があるといわれています。しかし、実際は複数の要素を考慮して判断がされています。

まず、それまでの養育の状況です。すなわち、これまで監護(面倒を見ること)をしてこなかった場合、不利になる恐れがあります。これについては、多くの場合、母親が育児を担っているので問題は少ないと思います。ただ、相手方から「するべきことをしていなかった」「手抜きをしていた」というような主張がされることは多く、そのような主張を受けた場合は、具体的な事実を挙げつつしっかり反論する必要があります。

次に、今後の養育環境についても検討がなされます。ご自身による監護はもちろん、ご両親など家族・親族の協力を得られるか、も大事になってきます。これまで専業主婦として育児をしてきた場合でも、一人になると収入を得るために働かざるを得ないでしょうから、家族のサポートを得られるのであれば、そのほうが望ましいです。家族・親族のサポートを得ることを考えている場合は、あらかじめ打ち合わせるなどして、具体的な計画について調停の場で話せるようにしておきましょう。

また、子がある程度大きい場合は、子の意見も考慮されます。子が幼い場合は、現に監護している親の影響が大きいと考えられていて、子の意向は必ずしもそのまま尊重されるわけではないのですが、ある程度大きくなっていると重視される傾向があります。なお、15歳以上の場合に親権についての審判を行う場合は意見を聞かないといけないというのが家事事件手続法(169条2項。なお、裁判の場合人事訴訟法32条4項)の定めですが、実際はそれ未満でも子の意見を聞く手続きが行われることが多いです。

ちなみに、男性側からよく主張される、妻の収入が少ないことについてはほとんど重視されません。なぜなら、母親が親権者になる場合、元夫が養育費を支払うべきとされていること、行政の支援もあること、などで経済的な問題には対処できると考えられているからです。したがって、母親のほうが父親より収入が少なくても、その点は親権獲得との関係では気にする必要はないと思います。

そして、裁判所は、子の環境を変えないことを重視しています。すなわち、現に監護している(面倒を見ている)親の元から引き離してもう片方の親に子を渡すということについては一般に消極的です。もちろん、絶対ではなく、従前の養育環境に問題があるとすれば現在監護していない方を親権者とする判断もあり得ますが、一般に、継続性は、かなり重視されています。

そこで、親権を取りたいのであれば、子供を置いて自分が家を出て別居をすることは極力避けたほうが良いでしょう。ただ、別居する際に子供が残りたがっているのに無理に連れて出ることは望ましくなく、また、子を連れて別居する場合は養育環境を整える必要があります。ご自身がどのように子の世話をするかということの他に、家族・親族の協力を得たり、行政の支援を得ることについても考えると良いでしょう。

また、父親に子連れ別居を実行されてしまった場合には、監護者指定の調停と子の引き渡しの調停を速やかに起こして子の引き渡しを実現し、それから親権についての議論に移る、という方法が考えられます。ただし、監護者指定・引き渡しの調停は不調で終わると審判に移行しますが、必ずしも認められるとは限りません。

なお、これまで母親が主に子の面倒を見ていたか、少なくとも、両親ともに育児をしてきたことが前提の話なので、これまで父親に任せきりにしていたというようなケースはそれ自体が親権獲得の関係で不利に働く可能性があることには注意が必要です。

親権変更

父親を親権者と定めて離婚しても後から変更できる場合があります。ただし、当事者の合意だけではできず、家庭裁判所の調停か審判を経る必要があります。特に調停で合意できずに審判になった場合、現在の親権者のままでは子の福祉のために望ましくないということを説得的に示す必要があります。最初に親権を決める場合と異なり、敢えて変更するだけの理由が必要なので、その根拠となる事実をしっかりと示すことができるかどうかが重要です。

相手方が虐待や育児放棄をしている、何らかの事情の変化で適切な養育環境を提供できなくなった、など親権者を変更しないことで子の福祉に反する事態が生じる恐れが高い場合には、親権変更を申立てた側が適切な監護ができることを示すことができれば、認められやすいと考えられます。

面会交流

母親が親権者とされた場合、元夫が子との面会交流を求めてくることが一般的です。一般的には頻度や場所などを定めて、それに従って進めていきます。しかし、どうしても会わせたくないという場合もあると思います。その場合に、拒否することはできるでしょうか?

実のところ、面会交流は子の福祉のためとされているので、母親が「会わせたくない」と思っていてもそれだけで拒否することはできません。相手方から調停を起こされた場合、基本的には条件を定める方向で進んでいきます。不調で終わった場合は審判が行われ、面会交流について具体的な内容が定められるのが原則です。

ただし、子に危害が加えられる恐れがある場合のように、会うことがかえって子の福祉に反する結果になる恐れがある場合には、拒否が認められる場合もあります。

なお、面会交流のために子を引き渡すときに元配偶者に会うのを避けたいという場合、支援してくれる団体を利用するという方法もあります。ただし費用は掛かります。

養育費について

以前のコラムでも書きましたが、親権を持って子を監護している側はもう一方の親に対して養育費の支払いを求めることができまず。その額を決めるには、交渉、調停、裁判、などの方法が考えられます。養育費は子の権利なので、あきらめずに請求することが望ましいです。未払いの場合に執行で権利を実現するための方法も以前より充実してきています。養育費についても、早めに弁護士にご相談ください。

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